SINIC理論は、科学・技術・社会の相互作用を基盤とした未来予測理論です。現在進行中の「最適化社会」は大転換の中で、SINIC理論をオープンソースとして、社内外の共感者と共に、それぞれのドメインを定めて進めていきます。
HRIの未来研究は、オムロンの「SINIC理論」と呼ばれる未来シナリオに基づいています。工業社会からのパラダイム・シフトを「最適化社会」、その先に到来する社会を「自律社会」、「自然社会」と位置づけ、その社会・生活のありようを描き出します。社会や暮らしの現場に見つかる兆しを拾い上げると共に、ありたい未来、あるべき未来からのバック・キャスティングの考え方も取り入れて、未来デザインや未来シナリオ創造を進めていきます。
HRIは、生活者・人間視点から未来を考える研究所です。しかし、生き方、暮らし方の未来を考えるためには、機械や科学技術と人間の関係を考えることが、ますます重要となると考えています。人間らしさ、生きがい、QOLの観点から未来技術を考えると、人間は機械と競争するのでなく、適正な技術によって共存し、調和してこそ真の豊かさを得られるものと考えます。また、そのような技術による新たな価値創造のため、人間視点からのイノベーションやサービスデザイン等、未来へのソーシャルニーズの創造を興していきます。
自立した人にとって、生活時間や意識の中で「働く」ことや「仕事」が占めるウェイトは大きいはずです。ですから、「生きがい」を考える中では「働きがい」が大きな意味を持つことになります。また、経済活動のグローバル化や価値観の変化により、「働きがい」にも多様性が拡がっています。HRIでは、個人の働きがいと組織の成果が最大化する働き方、働く場、企業文化を研究し、新しい個人の働き方や企業組織のあり方を探っていきます。
私たちの成長、そして社会の進化には、一人ひとりが「学ぶ」ことが不可欠です。特に、パラダイム・シフトの時代にあっては、子ども時代の知識獲得の学びにとどまらず、生涯を通して「知恵を生み出す力」のために学び続けることが大切になります。HRIの「学び」の研究は、未来を担う子どもたちの新たな学びを探ると共に、必要な時に必要なことを学べる生涯を通じた学びのあり方と社会の関係について、学校教育を超えて学ぶ社会のあり方を探っていきます。
私たち人間が、生まれてから死に至るまでの生涯を通じて、家族だけでなく、さまざまなコミュニティとの関わりも持ちながら、いくつかのライフステージを経て生きていきます。HRIの「暮らす」の研究分野では、広い意味での「ケア」をテーマとして、福祉や介護問題のみならず、コミュニティとしての自律や連帯、サステイナブルな社会・生活などにも焦点を当て、未来への生活のあり方を探っていきます。