スウェーデンでは数年前からエコロジカルな食品の人気が高まっている。日本ではオーガニック食品と呼ばれているが、スウェーデンをはじめとするEU諸国内では「エコ食品」だ。エコ食品の方がオーガニック食品より少し対象領域が広いが、まあ概略は同じもので、人工肥料や化学農薬を使わない(自然のものとみなされるカルキなどは使用してもよい)、畜産の場合には抗生物質は限定的に使用される、認証機関でチェックされる、既定の表示をする、などと定義されている。
エコ食品は総じて一般の食品より割高だ。ストックホルムでは大体2割増し(バナナなど)から数倍(小麦粉など)の値段になる。それでも人気は増すばかりで、小売店では独自ブランドを設け、売り場を拡充している。もちろんスーパーの独自ブランドだけでなく、各食品メーカーもエコ食品を一般食品と並行して提供している。スウェーデンのスーパーマーケット・チェーンの大手であるCoopでは、2013年にエコ食品の売り上げが23.5%伸びた。もう一つの大手ICAでは16%、三番目に位置するAxfoodは9%だった。Coopの自社エコ・ブランドは「エンゲル・マルク」(天使マーク、という意味で天使のイラストがついている)で、これは食品に限らす、洗剤や衛生用品などの日用品も含んでいる。対するICAの自社エコブランドは「アイ・ラブ・エコ」で、主として食品中心だ。
エコ食品の需要増の背景には、2013年中にバナナやワインに毒性のある添加物が見つかった事件の影響もあるが、より一般的には、もちろん環境重視のライフスタイルの反映がある。でも多分一番大きな理由は、エコ食品の方が美味だからだと思う。新聞のアンケートなどでは「エコ食品は高いからいつも買うわけではないけれど、卵はまったく味が違うのでなるべくエコのものを買うようにしている」とか「子どもがいるので牛乳と果物はエコのものにしている」という意見がみられた。リンゴや卵はエコのものは小さい。でも味が濃い。味を重視するか、値段を重視するか、節約家が多いスウェーデン人にとっては難しい選択だ。Coopではエコ食品販売拡大キャンペーンとして「今週のエコ」というシステムを導入して成功している。これはある週にあるエコ食品を特に低価格で提供する、というものだ。私もこれでエコ野菜にはまってしまった。Coopは特に野菜や果物のエコ食品が充実している。葉や花びらを食用(サラダのデコレーションなど)に使えるエコロジカル・チューリップも売っているそうだが、それはまだ試したことはない。
エコ食品の需要は学校給食などでも拡大しているが、供給が追い付いていない。エコ栽培は一般栽培に比べて収穫量が落ちるので、農民はなかなかエコ栽培を拡大したがらないからだ。そのため農業庁は、エコ栽培に関して「環境手当て」を受給できるシステムを導入している。
ウチの本日の買い物はICAの方に行ったので(つまり、野菜が豊富なCoopではなかったので)、エコ食品は牛乳と卵だけだった(写真)。明日か明後日はCoopに行かねば。