著者の木村先生は、空気や水の「ながれ」を研究する学者です。私にとっては、現代の寺田寅彦のような方です。科学の中の確かな論理的な考え方と、小説やアートの中のゆるやかな感性的なものを、自然の中の不思議を題材にして、興味深く見せてくれるからです。この本でも、豆腐や花火、海に落とした涙の話など、ついつい話の渦の中に引き込まれてしまいます。
好奇心がふくらむばかりの中高生のみなさん、大人だって「ジュニア新書なんて」と見下しては損しますよ。ぜひこの本を開いてみてください。自然科学のセンス・オブ・ワンダーを満喫できると思います。小学生のみなさんには、『うずまきがいっぱい』(岩波書店)という、木村先生の科学絵本がおすすめです。