動物行動学者の日高敏隆先生が、『てら子屋 vol.7』の巻頭に寄稿いただいた内容をさらに充実させて一冊の本にまとめられました。「遺伝か?環境か?」というのは、昔から「氏か育ちか」という言葉で言われ続けてきたテーマですが、どちらか一方ということは無さそうです。しかし、人間という動物に備わった「遺伝的プログラム」の実行ということを大事にしなくてはいけないと日高先生は説いています。周囲では「育てる」教育論が強まる一方です。しかし、動物本来の育ちに戻って考えれば、自ら「育つ」子どもの力を、邪魔されることのない環境づくりこそ、必要としている教育なのだと腑に落ちます。子育て中の親のみなさんへ、おすすめの一冊です。(中間真一)