天体、生物、人類、化学、地学、数学、物理の各テーマ毎に、あくまでも日常生活感覚からの疑問に答えるQ&A集です。しかし、よくある解説本や参考書とはひと味違います。あたりまえとされていることを、「それ、本当?」と、もう一度考えてみるような内容です。それらの疑問に答えるのは、その道の最先端の科学者たちです。だから、ますます好奇心をかきたてられる回答ばかり。ホンモノ指向の「てら子屋」からのオススメです。また、英語のテキストにも好適。てら子屋スタッフのニューフェースも、こんな感想を持ったようです。
思わず笑みがこぼれたのは、「テフロンに何もくっつかないなら、テフロンはどうやってなべにくっついているの?」という問いである。答えは簡単、テフロンをとかして、なべの表面に押しつけるのである。でも、ここでテフロンが何にもくっつかないことを忘れてはいけない。このままだと冷めたときにはがれ落ちてしまうのである。エキスパートがその種明かしをしてくれる。「くっつかない原因は『フッ素原子』にあるので、なべにくっつけようとする側の表面にイオンで衝撃を与えて、このフッ素原子を取りのぞいて、酸素などのよりくっつきやすいものにおきかえるのである。」テフロンをなべにくっつけるのに、これほど複雑な工程が必要とは!それよりも、「テフロンに何もくっつかないこと」と「テフロンがなべにくっついていること」との間に何の矛盾も感じずに日常的にテフロンなべを使っていたことが不思議に思えてくる。すでにある疑問に答えてくれるだけでなく、疑問に思ったこともなかったことをも疑問に思わせられる、そんな一面もこの本の魅力のひとつではないだろうか。