COLUMN

2020.09.01小林 勝司

「廃プラ問題」とは、“狂騒曲”なのか

温暖化や海洋汚染など、地球環境問題の根本要因は、企業や個人による大量生産・大量消費・大量廃棄にある。すべての企業や個人が、自らのエゴイズムが招いた結果と認識し、自律的なアクションを起こさなければ、地球環境問題は解決しない。その目標とは、他でもなく、化学物質の適正使用、化石燃料の消費量削減、廃棄物の再利用である。

今、国際社会において、「廃プラ問題」が、地球環境問題を象徴するテーマとして大きく取り上げられている。例えば、欧州議会において、使い捨てプラスチックを禁止するEU法案が可決されたり、また、中国や東南アジア、バーゼル条約によってプラスチック廃棄物を含む特定有害廃棄物の輸出入が禁止されるなど、国際的なレギュレーションは日々強まっている。

ご存じの通り、プラスチックは極めて汎用性の高い素材として、我々の日常生活に浸透しているが、廃棄物の9割は埋め立て処分または焼却処分されている。プラスチックは、経済合理性の高さゆえに、使い捨てが大半を占めており、結果的に不適切に埋め立て処分された廃棄物は海へと溢れ出し、マイクロプラスチックとなって海洋生態系を破壊している。また、焼却処分時のみならず製造時おいても、多くのCO2を排出するとともに、一方的な石油資源の浪費を生み出している。

「廃プラ問題」に対して、企業と個人が取るべき自律的なアクションとは、リデュース、リユース、リサイクルの3Rであり、企業にとっては、とりわけリデュース、リサイクルの推進を重視すべきである。何故ならば、リデュースを推進するには、プラスチックの代替え素材の開発が不可欠であり、リサイクルを推進するには、経済合理性と品質の高い原料需給を可能にするリサイクルシステムの構築が不可欠であることから、企業の集合知なくして成し遂げられないからだ。日本国内におけるリデュース、リサイクルシステムの社会実装は、環境先進国に比べ著しく見劣りしている。今こそすべての日本企業は、この「廃プラ問題」を単なる“狂騒曲”と捉えず、持続可能な社会に向けた共通課題と捉え、歩みを進めるべきと考える。
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