COLUMN

2013.09.15内藤 真紀

ソーシャルって何だ?

 
人と機械の関係には当てはまらないかもしれないが、人または組織のもつ関係として注目されているのが「ソーシャル」だ。
SNSが生活や企業活動に浸透し、震災を契機につながりや絆への関心が高まった。社会に役立ちたいと思う人、環境や人権に気遣ったライフスタイルをかっこいいと思う人がふえ、企業に社会の健全な持続につながる取組みを求める動きも拡大してきた。
こうした傾向をまとめて表現できるのが「ソーシャル」だろう。いま、ソーシャルは時代のキーワードの一つになり、「社会」「社交」を超えた含みを備えた言葉になっている。
 
では、「ソーシャル」や「ソーシャルである」とはいったいどんなことなのか。オムロンは「企業は社会の公器である」という基本理念をはじめ「社会」あるいは「ソーシャル」という言葉に関係が深い。当社では、ここはソーシャルなるものにきちんと向き合うべきだろう、と「ソーシャルって何だ?」をあらためて考える活動を昨年末にスタートさせた。
そのなかで、活動の糸口として今年初めに実施したアンケート「マイ・ソーシャル調査」(回答者72名)のうち、「あなたにとってソーシャルな場とはどんなところですか?」への回答結果を紹介したい。
自由記述式の回答には、場の状態や具体的な場所、メディアなどさまざまな回答が寄せられた。内容を整理するべく出現頻度の比較的高い語句と相互の関係を示したのが図である。円の大きさは出現頻度を、線の太さは関係の深さを表している。この分析によれば、「ソーシャルな場」の代表的なイメージとして、大きく6つがあることがわかった。
 
①趣味や仕事などつながりのある人の集まり
 ②リアルであれバーチャルであれ、目的を共有する関係や集まり
③実際に顔を合わせたり、インターネット上などで、知り合いではない人とも自由に話す、出入り自由な場
④Facebook、twitterなどSNS
⑤地域・地元や自治会など。さらに地域に役立つ活動
⑥家を出ればソーシャル。駅や電車内などのパブリックな場、会社や客先などオフィシャルな場
 
「家の外」や「パブリック」と大きく捉える見方は除けば、ソーシャルな場とは、人が出会い、関係が生まれること・関係を育むことと概ね捉えられているようだ。また、そこには自由で対等、集まった人同士何か共有するものがある。さらに想像すると、自分の関心に基づき、自分らしく率直に振る舞いつつ、相手も尊重する人間関係がソーシャルの一面といえ、その関係から何かが生まれていく動きも予感させる。
翻って考えると、昨今のソーシャルへの注目は、お仕着せの役割や行動スタイルから自由になり、より創造的になろうという希望や期待が背景の一つなのではないだろうか。前回コラムで紹介されていたような、アーティストに近づくような志向が芽生え始めているようにも思える。
  
 
 
 
 

 
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