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暮らしの未来

【自律社会としてのスウェーデン(17)】
スウェーデンで日本テイスト人気

三瓶恵子(ストックホルム在住)
2015.06.01

スウェーデンで毎年行われるコックのコンテスト「今年のコック大賞」で2015年は日本人のSaori Ichiharaさんが第3位に輝いた。Ichiharaさんは有名なグルメ・レストランEsperanto(エスペラント)グループ内の新しい居酒屋Shibumiのチーフ・コックだった。5月からは別のグルメ・レストランOaxen(オアクセン)に移ったそうだ。エスペラントもオアクセンもミシュラン・レストラン・ガイドで星ひとつを獲得している高級レストランである。Shibumiは日本の居酒屋でみられるようなおつまみ風料理をタパスのように小皿で供していて、日本酒もいろいろ飲める。大人気で予約なしではなかなか入れない。毎晩10人だけは予約なしで入れるが、いつも18時の開店前に10人以上が並んでいる。

スウェーデンは、なにしろコック大国だ。古くはアメリカのTV番組セサミストリートのもごもご何を言っているのかわからず最後にはオタマを投げてしまうコックさんもスウェーデン人という設定だった。スウェーデン人コックは国際的なコンクールでも常に上位に入賞している。生活の中で「食」に重きを置かないスウェーデン文化なのに、どうして料理上手が生まれるのかがちょっと不思議だ。

スウェーデン文化一般の憧れの対象はフランスであるが、食もその例に漏れずフランス料理が最高のご馳走とみなされている。しかし最近は「スウェーデンの食材を活用したフランス料理」というのが、新しいグルメのコンセプトで、政府もスウェーデン食材の輸出に力を入れている。さらにまた、最近のトレンドは、その「スウェーデンの食材を活用したフランス料理にアジアン・テイストを加える」もので、更に更に、そのアジアン・テイストがタイやベトナム風から日本風に変わってきているのだ。これもまたミシュランの星ひとつの超高級レストランGastrologik(ガストロロジック)では、ソースによく醤油を加味しているが、なんとその醤油まで自分たちで手作りしているという。

また、超高級レストランの日本テイストブームと平行して、依然として寿司ブームも続いている。爆発的に寿司バーが増えた一昔前の「なんちゃって寿司」は徐々に淘汰されつつあるが、まだ「タイ料理+寿司、ケバブ+寿司」等の日本人には受容しがたいコンビネーションも庶民向けランチ食堂では一般的にみられる。しかし寿司分野でも最近新しい傾向が見えている。「創作寿司」ともいうべき前衛的な寿司が人気なのである。ストックホルム市郊外にあるSushi Kawaではボスニア出身のコックさんの作る巻き寿司の上にはマヨネーズがソースのように飾られている(写真)。この、巻き寿司にマヨネーズをかけるというのは、誰かが始めてすぐに広まり新聞の料理欄の寿司の作り方などでも紹介されている。上記、エスペラントグループ内の寿司屋であるRakultur(ロークルトゥール)は、そのようなアバンギャルド寿司の先鞭をつけた有名店だが、巻き寿司の上にポップコーンが飾ってあったりしてスウェーデン人に受けている。

スウェーデンで日本テイストのフランス料理、アバンギャルドな創作寿司を試してみるのはいかがか。

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