過去研究テーマ

暮らしの未来

【自律社会としてのスウェーデン(7)】
環境にも人にも優しいストックホルムのバス

三瓶恵子(ストックホルム在住)
2014.07.01

ストックホルムのバスは、人にも環境にも優しい。バスは乗降の際には油圧で傾いて地面との段差を約10㎝くらいまでに縮める。車椅子の場合は写真①のようにバスの側面真ん中にある降り口の床にある跳ね上げ板を引き出して、地面に渡し段差をなくす。ワンマンカ―の運転手が外に出て板を渡す場合もあるし、降り口近くに座っていた乗客が手伝う場合もある。降り口の横あるいは正面が車椅子や乳母車のためのスペースとなっており、専用の安全固定ベルトも装備されている。車椅子や乳母車、手押し車を使っている高齢者などは、バスの側面中央の幅の広い降り口から乗り降りするが、一般の乗客はバスの前の乗り口、後ろの降り口を使う(降りる場合に関しては一般乗客も真ん中から降りられる)。車椅子、乳母車、手押し車を使う人々は料金が無料である。これはワンマンカ―なので料金を支払うためには運転手のところまで移動しなければならず、動きの不自由な人々にそんな手間を強いられないからだ。

写真②は犬を乗せられる境界線を示したもので、どのバスでも後ろ半分が犬(猫などの小動物も)もOKだ。前半分はアレルギーの人を鑑みて動物禁止になっている。時にはシェパードやラブラドールなどの大型犬もバスに乗ってくるが、大型犬は概してしつけが良く人間の子どものように騒ぐことなく、おとなしく後部座席の下に身を横たえる。ストックホルムでは無料だが、他の県のバス会社によっては2匹目から有料、などという規則を作っているところもある。盲導犬は前にも乗れる。

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(写真① 降り口の渡し板。
取っ手の部分の引き上げて道路に渡す)

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(写真② 犬は後ろへ・マーク)

ウェーデンにおいては公共交通は県の管轄で、ストックホルム県では3社の民間委託業者が運行を請け負っている。合計約2000台のバスがあるが、ガソリンで走るものは一台もない。燃料のバリエーションは多様で、1.エタノール、全体の40%、2.RME(菜種油から作るバイオディーゼル燃料、100%)、31%、3、ディーゼル(5%のRMEを含む)、16%、4、バイオガス、12.7%、5、天然ガス、0.3%の順だ。バスの乗り口や側面に燃料の種類が書いてある(写真③)。

バイオガスは家庭ゴミ焼却所で作る。バイオガスで走るバスはタンクを載せているために「頭の上に座布団を載せている」ように見えるのが特徴だ(写真④)。

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(写真③ バイオガスで走るバス)

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(写真④ バイオガスで走るバス)

ストックホルム県ではさらにエネルギー消費と大気汚染を減少させるべく、電気バスへの転換が図られている。電気バスにすればエネルギー消費と大気汚染を減らせるという試算が出ているからだ。バイオガスを電気バスに替えると、大気中への二酸化炭素排出量が65%、微粒子排出が90%減少する。騒音も現在の80デシベルから65デシベルに減少する。今秋ストックホルム市北部の一路線でテストが開始される予定だ。電気バスは始点と終点のターミナルで6分間充電して折り返すことになっているが、そのような高速充電がちゃんと機能するかどうかはまだ100%確実ではない。しかし技術革新が見込まれ、1,2年後にはボルボがハイブリッド・バスを大量生産するとも言われている。2016年から2026年までに330台のバイオガス・バスを電気バスに替える計画があるそうだ。

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