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暮らしの未来

【自律社会としてのスウェーデン(6)】
ストックホルムで屋外ジム・ブーム

三瓶恵子(ストックホルム在住)
2014.06.01

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ストックホルムでは各地で「屋外ジム」が増殖中だ。これは写真のように丸太や板を使ったトレーニング施設で、遊歩道やプールの近くに造られており、市民がジョギングや散歩の途中で気軽に、無料で、利用できるものだ。5年前にストックホルム市郊外のビヨルクハーゲン地区にできたのを皮切りに、今ではストックホルム市内では79か所、ストックホルム以外にもスウェーデン全国、ノルウェーにまで広がっている。

 私が住んでいるストックホルム郊外のティーレスエー市にも最近2か所がオープンした。施設で共通しているのは、上記のように「木」を使って、自然の中に溶け込むようなデザインであること、また大人のための設備であるということだ。  ストックホルム市では5月中、数か所の屋外ジムに近くのプールやジムからインストラクターを配備して無料のコーチングを提供している。でも大抵、写真入りの使用法案内板がついているのでインストラクターなしでも自分で使える仕組みになっている。スウェーデン人はジムが好きで、室内ジムはずいぶん前からとても人気だ。王位継承者であるヴィクトリア王女の配偶者、プリンス・ダニエルが、元々はジムのインストラクターでヴィクトリアのパーソナル・トレーナーだったのは有名な話だ。プリンス・ダニエルは今でも、国民の健康促進を彼の重要な公務の一つとしている。

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 けれども室内ジムの会員権はかなり高価な上、飛び込みでトレーニングできるシステムではないのでなかなか敷居が高い。その点、屋外ジムは無料でだれでもいつでも使用できる利点がある。私が見に行ったときは平日の午前10時くらいだったのだが、乳母車を押した多分育児休暇中のおとうさんやおかあさんが本格的なトレーニングウェアを着て汗を流していた。毎日の子どもの散歩コースに組み込んでいるようだった。上記のように子どものための施設ではないので、写真に写りこんだベビーカーから這い出してしまった子どももすぐにおとうさんに拉致されていた。また、遊歩道に隣接しているところが多いので、車椅子に乗っている人たちも簡単にアクセスでき、自分に適した道具を使える。

 ティーレスエー市の場合は、屋外ジムの建設は市の文化・余暇局の財源で賄われるが、一か所作るのに、地ならしの分も含めて約40万クローナ(約600万円)かかり、同局の年間予算の0.5%に相当するそうだ。市民の健康向上のコスト対効果を考えると高くない投資だ。

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