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暮らしの未来

【自律社会としてのスウェーデン(2)】
自律社会のクリスマス・プレゼント

三瓶恵子(ストックホルム在住)
2014.02.01

 少し時期外れになってしまったが、今回はクリスマス・プレゼントの話題を取り上げよう。スウェーデンでは商業調査研究所(HUI)が毎年11月下旬に「今年のクリスマス・プレゼントはこれだ!」という調査レポートを発表する。これはその年の10月までの売り上げ等を鑑みて、1)急速に売り上げを伸ばしていること、2)新しいモノ(サービスも含む)であること、3)時代を反映していること、という三つの基準に照らし合わせて選ぶもので、世相を色濃く反映するものでもある。スウェーデンでは家族ばかりでなく、友人や知人、その他の人々にまでちょっとしたものをプレゼントする習慣があり、クリスマス・プレゼントを決めるのに頭を悩ます多くの人が素直にその予想に従って購入するので、一番売れるという予想が当たることになる、という「好循環」を示すものである。
 12月はスウェーデンの小売業界にとって最も重要な月である。クリスマス休暇の後は「冬の大安売り」の時期があり、クリスマス前と同じくらい、買い物客が街中を走り回る。最近は旅行券やレストランの食事券をクリスマス・プレゼントとする傾向も強まってきており、小売業界では警戒心を強めていたりもする。
 そして、HUIの綿密なる調査によって予想され決定した2013年のクリスマス・プレゼントは、、、電動ジューサー(下図参照)であった。

2013年のクリスマスプレゼント
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スウェーデン市場においては、数社が電動ジューサーを販売しており、大体1000クローナ強(約1万4、5千円)の価格だ。クリスマス・プレゼントとしては少々高価に感じられるが、最近の健康志向および食品人気を反映している、と分析されている。電動ジューサーは果実からジュースを絞るだけでなく、野菜スープなども作ることができ、若者や高齢者、子育て中の家庭、単身者などいろいろなタイプの人々の需要を満たす。

 

 HUIの「今年のクリスマス・プレゼントはこれだ!」という発表は1988年から継続しているもので、各年のクリスマス・プレゼントは下表の如くである。毎年の発表記者会見はマスメディアで大きく報道される大きなイベントでもある。25年以上にわたる「今年のクリスマス・プレゼント」の歴史を見ると、IT製品も多いが、毛糸の帽子とか、工具といったようないかにもスウェーデンらしいものが入っているのもほほえましい。2013年のレポートにあるように、健康志向(とげとげマット=ゴムマットに棘がついており、そこに寝そべるとマッサージ効果が得られるというもの=、食材宅配サービス)や、食品志向(パン焼き器、中華鍋、食材宅配サービス)も継続して見受けられる。

<今年のクリスマスプレゼント>1988-2013
1988 パン焼き器 2001 工具
1989 ヴィデオカメラ 2002 クックブック
1990 中華鍋 2003 毛糸の帽子
1991 CDプレイヤー 2004 薄型TV
1992 TVゲーム 2005 ポーカー・セット
1993 香水 2006 オーディオ・ブック
1994 携帯電話 2007 GPS受信機
1995 CD 2008 体験プレゼント
1996 インターネット・パッケージ 2009 とげとげマット
1997 電子動物 2010 ネットサーフィン用タブレット
1998 コンピュータ・ゲーム 2011 食材宅配サービス
1999 2012 イヤホン
2000 DVDプレイヤー 2013 電動ジューサー

(出所:HUI)

表を眺めていると、スウェーデン人は実用品を好む傾向があるのではないかとうかがわれる。香水(1993年)が実用品かどうかは微妙ではあるが。また、これが自分用ではなく、他人用の「プレゼント」である点も、単なる「売れ筋商品」というだけではないニュアンスが加味されるだろう。たとえば、体験プレゼント(2008年)というのは、マッサージお試し券、陶芸体験券、ヘリコプターから飛び降りる体験券などで、相手の喜ぶ顔を想像しながら自分もほんわか嬉しくなるといったものだ。今年はどんなものが選ばれるのか興味深い。

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