COLUMN

2019.06.01田口 智博

インタラクションを新たな価値創造のステップへ

―Maker Faire Kyoto 2019への出展を通して―

 “令和”に改元がなされた5月初めの大型連休、みなさんはどのように過ごされていたでしょうか。ちょうど5/4と5/5の両祝日、京都のけいはんなオープンイノベーションセンターでは、『Maker Faire Kyoto 2019』が催されていました。
 『Maker Faire』は、全世界200カ所で開かれているイベントですが、関西では初めての開催でした。ものを作る人(メイカー)のためのお祭りとして、ユニークなアイデアと新しいテクノロジーを使って、これまでになかったものを披露する展示発表会です。今回、その場に、私たち社内外のメンバー6名が社会に新たな価値を生み出そうと検討を進める内容について、来場者が体験できるインタラクティブな形に仕立て、出展を試みました。

 そもそも、私たちがどのような新たな価値につながるコンセプトを考えようとしているのか。それは個人情報に関するさまざまな問題や不安が取り沙汰されている昨今、「自分の情報は、自分の資産。だからこそ、自分の意思で活用し、自身で守る」。こうした個人情報の取り扱いに向けて、人に“嬉しさ”と“安心”をもたらす情報活用の環境づくりを進めたい、という点に集約されます。そして、自分の情報を、自分でコントロールできる環境を提供可能にする仕組みについて、私たちは『Howdy』と名付けて取り組んでいます。

 展示では、来場される一般の方々に、まずは楽しんで、デモ体験をしてもらえるように準備をしました。デモの設計自体は、体験者にタブレットの画面越しに質問を投げ掛け、それに回答をしてもらう。その回答情報について、本人が提供して良いと思うか否かを問うシンプルな内容です。提供してもらった情報には、私たちが独自に設定した情報価値を数値として体験者にフィードバックするという流れです。
 たとえば、質問項目には専用デバイスに息を吐きかけてもらい計測する「匂い」を情報の一つとして加えました。今後、日常生活で「匂い」のようなデータが容易にセンシングされ、個人に紐づく情報になってくると、そこにはこれまでに無かった活用価値が生まれてくると考えられます。そうなった場合、個人にとってセンシティブな情報を中心に、自分の情報をみずからハンドリングできるような環境が必要になってくるはずです。

 デモ体験を通して、多くの方に個人情報の取り扱いに関する新たな世界観を垣間見て、共有してもらうことが出展の大きな動機でした。今回、二日間の展示を行い、ブースを訪ねてデモを体験してくださった方々は、120名に上りました。連休中ということで、親子連れの姿が多く目に留まり、そんな様子を反映してデモは、下は4歳から上は66歳という非常に幅広い年齢層の方々に体験をしてもらえました。

 新たな価値を創造していくというのは、一朝一夕にはいかないものであることは明らかです。社内外のメンバーによるオープンな協業活動では、メンバー間の議論を経て、Maker Faireという外の場に一歩踏み出したというのが今回になります。今後、ブースを訪ねてくださった方からの反応なども振り返りながら、生活者の視点に立った個人情報の取り扱いの相応しいあり方をカタチにしていきたいところです。
 『Howdy』のコンセプトにご興味、ご関心を少しでもお持ちいただけた方は、ぜひこちらまで(info@howdy.company)コンタクトをお寄せくださればと思います。
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