研究員コラム

2015.02.01中間 真一

ロボット革命~人と機械の融和に向けて~

 政府の「ロボット革命実現会議」が「ロボット新戦略」を発表した。2020年までの5年間で、官民合わせて1000億円を投じ、ロボット関連の国内市場を現在の約4倍の2.4兆円に拡大させようというプランだ。また、2020年の東京五輪に合わせてロボットオリンピック(仮称)を開くなど、チャレンジングな目標が並んでいる。
 
 同様の戦略は、アメリカの「国家ロボットイニシアティブ(National Robotics Initiative)」(2011年)、ヨーロッパでは「EU SPARC Project」(2014年)、中国の「智能製造装置産業発展計画」(2012年)などが既にスタートしている。産業用ロボットでは世界トップシェア(約50%)を維持している日本であるが、さらにダントツのトップランナーであり続けるために、今回の戦略の具現化は重要だ。
 さて、ではこの「革命」で、人とロボットはどんな関係に変わっていくのだろうか。巷では、人の仕事をロボットに奪われそうだという話も騒がれ始めているが。
 
 私は、ソフトバンクが今月発売開始するロボットPepperのCMで「君は幸せのドアを開けるために作られたんだよ、どうやら人だけでは人を幸せにしきれないみたいだな」というセリフにドキッとした。次にやってくるロボットは、人間以上に人間に寄り添ってくれるロボットだというのだから。
 
 私たちHRIは、人と機械の関係の未来について「融和」というコンセプトを提案した。これは、オムロンの技術の方向性としても採用されたが、文字通り、人と機械がうちとけて仲良くするという関係である。これまでのように、機械が人に代わって仕事をするという関係からの進化の方向性と位置付けている。
 
 そんな人と機械の新たな関係は、欧米のロボット開発のコンセプトと比較して、かなり日本的なのかもしれない。私が、それを強く感じたのは、ドイツのロボット開発企業KUKAとオムロン、両社のロボティクス技術に関するPRビデオの差を感じた時だった。両社は、いずれも人とロボットが卓球をするシーンを映像化している。KUKA社のビデオでは、人と卓球ロボットは「競う」関係の中で激しいバトルを繰り広げている。一方、オムロンのビデオでは、人と卓球ロボットは、卓球を楽しむために人の能力に合わせて打ちやすい球を返してラリーを続けられるようにしている。同じ卓球ロボットでも、人との関係はまったく違うのだ。じつに興味深い。
 
 どちらの技術レベルも素晴らしい。しかし、身びいきと言われるだろうが、私はやはりオムロンの卓球ロボットに共感するし、人と機械の未来の関係を感じる。読者のみなさんはどう感じるだろう?ヨーロッパの知人には「日本人だから、そう感じるんじゃないか」と言われた。ぜひ、試しに2つの動画を観てみてほしい。できれば、感想を聞かせてほしいものだが。
KUKA社:https://www.youtube.com/watch?v=tIIJME8-au8
オムロン:https://www.youtube.com/watch?x-yt-cl=85114404&v=HXhZ4jdzOrU&x-yt-ts=1422579428
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