研究員コラム

2014.08.15内藤 真紀

猫との関係、人との関係

前回コラムで触れられていた猫型ロボット「ネコロ」。設計の意図とは異なるかもしれないが、私が感じた残念ポイントはその触感だ。
猫の特徴のひとつが、しなやかで柔らかい身体だろう。スヌーピーの漫画「PEANUTS」に、ぐにゃっと脱力して飼い主に抱えられた猫が登場するが、まさにあのイメージだ。そんな柔らかそうな身体に私は触れたくなるし抱き上げたくなる。
人間や動物の身体に触れたりなでたりする行為は、安らぎを高めたり、ストレスの軽減、心拍数や血圧の低下、免疫機能の強化などにつながるとされる。生き物に触れる触覚は、「幸せホルモン」「絆ホルモン」などと呼ばれるオキシトシンを分泌させる刺激になるからだ。ちなみに「世界一セラピー効果があるロボット」とギネスブックに認定されたPAROは、同製品ホームページによれば「柔らかい人工羽毛を使用」「気持ちのいい手触り」と紹介されている。
 
もうひとつ猫の魅力を言わせてもらえば、本能的な行動だ。寝たいときに寝る、餌の用意を待ちきれずにまとわりつく、遊びたくて邪魔をする。人間なら我慢したり、素振りを見せないようにしたり、遠慮などもするが、お構いなし。ブレない行動原理、行動パターンは清清しくもあり、人間としてはちょっとした内省の機会にもなる。
 
猫の魅力である(と私が思っている)触れ合いやブレない行動原理だが、実は組織運営でも似たような話題がある。
たとえば握手やハグ。目標を達成したり表彰されたりという場面で、社長・上司や同僚が握手やハグで当人を祝福するのを恒例とする会社がある。褒め合う文化や連帯感づくりを通じた組織の活性化、業績向上をねらったものかと思われる。またある会社では、出勤したら先に来ている社員に握手して挨拶するルールをつくったと聞く。社員同士のコミュニケーション機会を強制的につくって業務への好影響を図ったものだそうだが、遅く出勤するとえんえんと挨拶回りをすることになり、副産物として社員が早く出勤するようになったらしい。
 また、社内でのスピーチなど何か発信をする機会には、必ず企業理念について述べるようにしている、という社長もいる。多くの企業理念は日常業務では忘れられてしまったり、青臭く受け止められたりするものだろう。だが、そんな企業理念を折にふれ持ち出されれば、ちょっとは気にしたり、自分の行動を振り返ったりするようにもなろう。
 
動物と人間の関係性は、それにとどまらず、人間と人間の関係性はもちろん、組織のありようにも通じている。弊社にネコロがいることにも、何がしかの意味を勘ぐらないでもないのである。
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