研究員コラム

2013.12.15内藤 真紀

ワーク・ライフ・インテグレーション

この年末年始は日の並びがよく、国内旅行・海外旅行ともに旅行者数は過去最高になりそうらしい。長期休暇の醍醐味のひとつは、日ごろなかなかできないことをやれること。旅行はまさにその代表例だ。仕事が忙しい人にとっては家族サービスの、普段家事を中心にしている人にとっては娯楽の機会になる。長期休暇は、ここぞとばかりにワーク・ライフの歪みを是正する、いわば生活の整体だ。
 
1回の整体で歪みが改善されるわけではないように、生活のバランスも日常的に意識することが大切だ。最近では伊藤忠商事の「20時以降原則残業禁止」が話題になったが、ワーク・ライフ・バランス施策を積極的に取り入れる企業がふえている。
ワーク・ライフ・バランスの政策には、一人ひとりが自律的に生活設計できる社会というハッピーな側面を感じながらも、少子化解消や女性の社会参加促進のために管理の方針が変わっただけという印象もないではない。多様なバランスのあり方に寛容な風土や、ワークとライフをバランスさせ統合していく楽しさや豊かさへの共感を、もっと広げていければいいと思う。
 
「バランスさせると楽しい!」と言えるかもしれない例が、先日行った調査から得られたのでここで紹介したい。
この調査は、仕事や家事、娯楽、社会的な活動などの生活シーンをどのように配分しているのか、今後どのように配分していきたいと考えているのか、を日本国内の20~60代の男女約4,000人に尋ねたもの。このうち、①仕事または学業、②家族とのかかわり・家事、③主に一人で行う勉強・趣味・娯楽・教養、の3つについて、「現在費やしている時間割合」別に「感じているやりがいや期待」を示したのが下のグラフである。
「やりがい・期待」については、①社会性を追求すること(社会性)、②専門性を高めること(専門性)、③自分を役立てたり貢献したりすること(還元)、④報酬を得ること(報酬)、⑤連帯や交流をすること(連帯)、⑥自分の可能性や幅を広げること(自己拡張)の6つを設定し、このようなやりがいや期待を感じるかを7段階の評定尺度で尋ねた。肯定的に回答した比率をグラフの縦軸に置いている。
 
結果から見て取れるのは、まず、やりがいを感じたり期待したりする内容は人それぞれだろうが、概ね生活のシーンによって違いがありそうだという点だ。つまり、生活シーンにバラエティをもつことによって、多様なやりがい、やりがいを感じることによる楽しさを享受できることになる。
もうひとつは、時間をかけるほどやりがいも高まるわけではなさそうな点。これには、ここに挙げていないやりがい(理屈抜きに楽しいなど)が高まる、やりすぎると辛い・惰性になる、他がおろそかにする後ろめたさ、などの理由が考えられるだろう。一方、家族とのかかわりや家事は、時間をかけても他に比べてやりがいが目減りしない。また、勉強や趣味では一定以上の時間をかけると一部のやりがいが上がるのも特徴といえる。
 
さまざまな生活シーンをどれかに偏らせすぎないよう調和させるのが、楽しい暮らしのヒントになりそうだ。それぞれの活動がもつ独自の特徴を組合せて相乗効果を図ることが、生活を満喫するポイントになろう。
 
 

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